Kesto(Disc3 & Disc4)

Pan Sonic-Kesto Disc3.Disc4
   ■Artist : Pan Sonic
   ■Title : Kesto(Disc3&Disc4)
   ■Label : Mute Records
   ■Release : 2004
   ■Sample :




Pan Sonicによる2004年にリリースされた4枚組、収録時間234分という想像を絶するヴォリュームの6thアルバム『Kesto』。(Dsic1とDisc2を紹介した記事はこちら

Disc1がカオスティックなノイズ、Disc2がアブストラクトな音響テクノときて続く3枚目、Disc3である。
振動するような微かなドローンが数秒続いた後にいきなりトイレの水を流すような音が聴こえる。タイトルは“Viemärimaailma(Sewageworld)”。つまり“下水(=Sewage)の世界”といった所だろうか。フィールドレコーディングしたと思しき何とも聴き取り辛い持続音が所々で反響しノンビートのままおよそ10分に渡って展開されていく。これらの事からおおよその察しがつくと思うがこの3枚目では非常に実験的な音響作品が収録されている。#2“Käytävä”では静から動へ、そして動から静へというサイクルが緩やかなドローンとしてノイジーなサウンドを伴って時に目まぐるしく変化していくスリリングなトラックで緊張の糸が再びピンと張りつめる。その後は時折激しいノイズも織り交ぜながら中盤以降、静謐な微音が展開されていきラストは幾つかの信号音が現れては消え、静かに交錯しそして拡散するというもはや”音楽”という形はこの信号音と共に遥か彼方へ拡散したようなエクスペリメンタルな電子音が一切の感情や意図を感じさせる事なく静かに放たれる。

最後のDisc4には“Säteily(Radiation)”つまり“放射線”と題された61分にも及ぶ1曲のみが収録されている。ここではDisc3のラスト#8“Linjat(Lines)”で聴く事の出来た信号音によって放たれたか細いラインがやがて1つの大きな大河となって緩やかな変化を繰り返しながら61分という時間の中で壮大なるスケールのドローンとして展開されていく。だがここでも音に一切の感情の起伏は感じられない。在るのは只ただ照射を続ける放射線の揺らめきを思わせるような“音”だけである。そしてその先には絶対零度の宇宙空間に只一人漂流しているかのような極低音の寒く美しくそして孤独な世界が広がっているのである。

これら4枚、およそ234分にも及ぶ巨大なサウンドの欠片はまさしくPan Sonicとしての一つの到達点でもあり様々なサウンドを内包した彼らの集大成とも言えるような作品である。力や持続を意味するという『Kesto』というアルバムタイトルも彼らの一つの集大成を表すに相応しい言葉である。
そしてその集大成でもある『Kesto』からおよそ3年の歳月を経た2007年の5月、Pan Sonicの二人による新しいアルバム『Katodivaihe/Cathodephrase』がリリースされるのである。

Track List

3-01 Viemärimaailma / Sewageworld (10:46)
3-02 Käytävä / Corridor (10:28)
3-03 Ilmenemismuoto / Appearanceform (7:36)
3-04 Pakkasen Holvit / Arches of Frost (4:16)
3-05 Selittämätön / Inexplicable (9:07)
3-06 Ilma / Air (9:38)
3-07 Koljan Uni / Sleep of Haddock (3:04)
3-08 Linjat / Lines (18:09)

4-01 Säteily / Radiation (61:16)

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