Plays Non Standards

nsi.-Plays Non Standards
   ■Artist : nsi.
   ■Title : Plays Non Standards
   ■Label : Sähkö Recordings
   ■Release : 2007
   ■Sample :




90年代初頭よりアンビエント/テクノユニット、Sun Electricとして多くのクラシックを世に送り出してきたMax Loderbauerと、同じく90年代よりPink Elln等の名義で活動を行ってきたTobias Freundによって結成された“Non Standard Institute”を意味するユニット、nsi.。2007年にリリースされた今作は彼らにとって1stアルバムであり、Mika Vainio(ex-Pan Sonic)のソロ名義であるØやPhilusといった異形のウルトラ・ミニマルな作品でお馴染みのフィンランドのSähkö Recordingsよりリリースされた。

本作『Plays Non Standards』は“23 piano pieces”から成る作品であり各々がおよそ1〜4分という小曲で構成されている。Max Loderbauerがピアノを弾き、そしてTobias FreundがTR808やDEP5といったヴィンテージ機材を用い全曲を一発録りしているそうで、アルバム全体を覆う不穏な緊張感とピアノによる静謐で美しい音色が、特異な間を持って鬩ぎ合う何とも不思議な空気感と実験的な要素を併せ持った作品となっている。アルバムを通しての明確なテーマ性などはやや希薄に感じられる小曲集といった趣きの作品だが、それぞれが1〜4分という短い構成の中でピアノの「響き」や「間」を生かした演奏が非常に印象的である。ミニマルなピアノ・アンビエントから低重心のドローンまでをアヴァンギャルドな香りを絶妙な間合いで掻い潜りながら表現した実験的でありながら美しい作品である。


From Stills to Motion

Adam Pacione From-Stills to Motion
   ■Artist : Adam Pacione
   ■Title : From Stills to Motion
   ■Label : Infraction Records
   ■Release : 2007
   ■Sample :
   myspace

Adam Pacioneはデトロイト出身、現在はテキサスに活動の拠点を置くサウンド・アーティストである。元々はフォトグラファー/グラフィック・デザイナーとしてその活動のキャリアをスタートさせたが1999年からは本格的に楽曲制作を始め、これまでに数枚のCD-R作品と2005年には1stアルバムにあたる『Sisyphus』をElevator Bathというレーベルよりリリースしている。今作は、毎度美しいアートワークと共に非常に水準の高いアンビエント/ドローン・サウンドを世に送り出しているInfraction Recordsより2007年にリリースされた2ndアルバム『From Stills to Motion』である。因みに本作のインナー・ブックレットにはフォトグラファーである彼自身の撮影したアートワークが幾つか掲載されている。

まずアルバム冒頭から#1“Available Light”そして続く#2“Good Morning Mockingbird”とスケール感の滲み出た非常に壮大なアンビエンスと美しいメランコリアが同居したサウンドを聴かせてくれる。静寂に差し込む暖かい光、そして柔らかなドローン・サウンドに包容された穏やかな日常。まるで自然の中で絶えず繰り返されてきた優美で、しかし時に猛々しいドラマティックな一瞬を接写するかのようにAdam Pacioneは丁寧に描き出しそして聴く者の心に鮮やかに映し出す。

微細なノイズやエレクトロニクスを絡めながらも、その手触りはあくまでオーガニックで柔和な印象である。しかし1、2分の小曲から13分にも及ぶ大曲まで、そのどれもに1本芯の通った徹底された世界観と美しく壮大なサウンドスケープが存在しており、そのことによってこの作品を柔和な印象だけに止まらずより強くしなやかなものと感じさせてくれている。特にラストを飾る13分にも及ぶ大作“Zenith”は聴く者を圧倒するかのような重厚美麗持続音が展開されており“天頂”を意味するそのタイトル通り、ある種の神々しさと圧倒的なカタルシスを内包したラストを飾るに相応しい楽曲となっている。