業務連絡

10日程前に自宅PCがいきなりクラッシュ。新しいPC到着は年明けになりそうです。
ということで、今年も色々ありましたが皆様、良いお年を。また来年お会いしましょう。

冬至 LIVE

12月22日、冬至の夜に素敵なLIVEがあります。
お近くの方、お時間ある方は是非遊びにいらして下さい。

2007.12.22 (sat)
『冬至 LIVE』
@OTOYA Kobe

LIVE:
沼澤尚(drums)
+
EXPE(space guitar)

YUJI HIROMOTO(Tabla, E.Percussion)
+
SHINOBU(Didgeridoo, Percussion)
+
HAL(Turntable, Electronics)

Candle:
KINYA

〉Door 2,000yen (+1drink 500yen)
〉〉OPEN 19:30
〉〉〉END 23:00
◇CLUB OTO-YA◇
650-0001
兵庫県神戸市中央区加納町4丁目9-14
岩崎ビル地下1階
http://otoya.kobeunderground.net/

Of Beauty Reminiscing

Vikki Jackman-Of Beauty Reminiscing
   ■Artist : Vikki Jackman
   ■Title : Of Beauty Reminiscing
   ■Label : Faraway Press
   ■Release : 2007
   ■Sample:




英国を代表するアンビエント/ドローン作家、Andrew Chalkや彼が所属するMirrorの諸作に於いてゲスト・ミュージシャンとして参加していた女性ピアニストVikki Jackmanの1stアルバムが今年に入りChalk主宰のFaraway Pressよりリリースされた(因みにLPとしては既に昨年300枚限定でリリースされている)。近作ではChalkの作品『Goldfall』(→過去の紹介記事)でも彼女によるその慎ましやかな旋律が非常に印象深かったが本作の『Of Beauty Reminiscing』を聴けば彼女が“ミュージシャン”としてだけに留まらず“アーティスト”としての非凡なる才能の持ち主だという事がわかるだろう。

『Of Beauty Reminiscing』(=美しき追憶)と題された本作は全2曲、およそ35分に渡る作品である。曲数、収録時間ともに若干の物足りなさを感じるが、それでも35分という中で穏やかな変化を遂げてゆく音像に身も心も委ねていると自分の中に流れる時間までもが次第にその速度を落としてゆき、やがては彼女の紡ぎ出す緩やかな時間軸と遡ってゆく追憶の情景に自らも同調していくような不思議な感覚を覚える。先ほど述べた若干の物足りなさとは無論、音楽的なそれではなく少しでも長く彼女の作品に触れていたいという思いからであり、今作で聴く事の出来る音楽はそう思わせるには充分過ぎるほど足る作品である。

また日本盤には邦題もついており#1“Wrapped In Whitenesses”(=白さに包まれて)、続く#2“And Then A Blue Sky Overhead”(=そして、頭上に青空が)と記されている。これらは彼女の中にひっそりと佇む在りし日の光景であり、アルバムジャケットから想像するに彼女の幼少時代の思い出の1シーンなのだろう。冬の朝だけが持つあの張り詰めた空気、目の前に広がる純白の世界、夢中になって作った雪だるま。そして見上げた空は吸い込まれてしまいそうなほど澄み渡り、そこには少女時代の彼女の姿が在る。美しく慎ましやかなピアノの旋律と霧のように朧げな持続音が交錯し追憶の中の情景はまるでスロウモーションのようにゆっくりと動き出し、その中でのみ再び時を刻み出す。

記憶とは非常にデリケートなものである。他者の意思の介在を許さず自らの中でのみ純化されゆくその記憶の中だからこそ、彼女は只ただ美しいシーンを紡ぎそして淀み無き旋律を奏でてゆくのだ。


The Dream

The Orb-The Dream
   ■Artist : The Orb
   ■Title : The Dream
   ■Label : Traffic Inc.
   ■Release : 2007
   ■Sample :
   myspace


The Orbによるおよそ3年ぶりのアルバム『The Dream』。今年の夏にリリースされてから随分と時間が経過してしまったが1st、2ndと紹介しておいて今作を取り上げないのは何ともキまりが悪いので。
今作には往年のパートナーであるYouthも参加しているという事で発売前からの各誌媒体でのインタビュー記事や前評判を読む限り1st『The Orb's Adventures〜』、そして2nd『U.F.Orb』を彷彿とさせるレゲエ/ダブ色の濃い初期回帰作ということで、ファンの期待は弥が上にも高まるわけだが、蓋を開けてみれば「初期回帰作」という一言で括るには少々複雑な作品であり、過去の作品に比べてもより広がりを持ち様々な要素を含んだ「回帰作」というよりもむしろ「意欲作」と取れる作品ではないだろうか。

まず今作にはThe Orb作品にはデビュー当時から馴染みの深いミュージシャンを始め数多くのゲスト・ミュージシャンが参加しており(詳細はTrack List参照)その事が今作の多様な音楽性や楽曲に影響を与えているのは言うまでも無いだろう。中でも驚いたのはヴォーカル曲の多さである。これまでにヴォイス・サンプルを多用してきたThe Orbであるが(勿論、今作でもそれは聴ける)このアルバムには収録曲の半数以上にヴォーカルが起用され、より華やかで多彩な作品に仕上がっている。そしてまた初期を彷彿とさせるレゲエ/ダブの要素も多分に盛り込まれているが、それと共に東洋の旋律やトライバルなビートを取り入れたエスニックな要素もこの作品を語る上で重要なピースであろう。

標題曲でもありアルバム冒頭を飾る“The Dream”はタイトル通り夢心地のメロディーとオーガニックなビートが響き渡る美しくロマンティックな気分にさせてくれる冒頭を飾るに相応しい楽曲である。そして幻想的な女性ヴォーカルが印象的な#4“A Beautiful Day”、Dirty Disco Dubと題されたファンキー&ダンサブルな#5“DDD”、ルーディーで煙たいベースラインと深いリヴァーブが特徴のOrb印のダブ#9"Lost & Found”と、かいつまんで言っただけでも非常に聴き所にも溢れた作品となっている。終盤に向かうにつれよりディープに、そしてリラックスしてゆく展開も一つの大きな聴き所であろう。そして日本盤には特典としてボーナス・トラックが1曲追加されているのだが、これからこの作品を聴こうと思っている方には是非日本盤の購入をオススメしたい。“Let The Music Set You Free”−音楽があなたを解き放ってくれる−と題されたこの曲はボーナス・トラックとして追加された曲ではあるが、まるでこの作品を、否、The Orbというユニットを象徴するかのような素晴らしい楽曲となっている。

The Orbとして9作目にあたる『The Dream』は確かに以前のような獰猛なまでのトリップを求めるタイプの作品ではないのかもしれないが、それ以上にThe Orbの、もっと言うならばAlex Patersonの成熟しきった音楽性を感じさせるユーモラスでこれまで以上に多様性に満ちた作品だといえるだろう。
この作品に対する反応はそれこそ賛否両論あるのかもしれないが、これがThe Orbによる単なる懐古趣味だとは思いたくはないし、過去に対するしんみりとしたノスタルジックよりも未来に向けた楽天的な希望と受け止めたい。因みに本作の正式なタイトルは『the future academy of noise, rhythm and gardening presents... the dream』、人を食ったような長ったらしいタイトルだがAlexがニヤニヤとほくそ笑みながらこのアルバム・タイトルを考えたのかと想像するだけで何だかこちらまで嬉しくなる。