『MOMENTOS』

こちらで蝋燭デコさせて頂きます。
お時間ある方、是非遊びにいらしてください。

MOMENTOS@SOUND CHANNEL

2007/5/26(SAT)
『MOMENTOS』
@SOUND CHANNEL(OSAKA)

RESIDENTS DJ
JUZU aka MOOCHY(NXS,CROSSPOINT)

GUEST DJ
BEANSAN aka カジワラトシオ

DECO
ONA

CANDLE
KINYA

FOOD
BAR BASE

OPEN−23:00
MAIL DISCOUNT−¥2000(W/1D)
>>www.sound-channel.com
WITH FLYER−¥2500(W/1D)
DOOR−¥3000(W/1D)

Kesto (Disc1 & Disc2)

Pan Sonic-Kesto Disc1.Disc2
   ■Artist : Pan Sonic
   ■Title : Kesto Disc1&Disc2)  
   ■Label : Mute Records
   ■Release : 2004
   ■Sample :




フィンランドが誇る最凶の電子音響テクノイズユニットPan Sonicの新作が3年振りにリリースされる。Pan Sonicはフィンランド出身のMika VainioとIlpo Väisänenにより1993年に結成されたユニットであり活動初期からウルトラミニマルな作品群でJeff MillsやBasic Channel、Mike Ink、Richie Hawtinといったミニマリストとは違ったサウンド/手法を実践し(美術館やアートスペースに於けるサウンド・インスタレーション等も多数行なう)、テクノ・ミニマリズムの新たな地平を切り開いたユニットでもある。
彼らのサウンドは一切の装飾を排し極限までにシェイプアップされたストイックなミニマル・トラックとノイズ、インダストリアルからアンビエント、ドローンといった時にフロアでの機能性から大きく逸脱したような実験的な音響アプローチを施した楽曲が特徴であり、先述したように彼らのライブ・パフォーマンスはダンスフロアだけに留まらず美術館でのインスタレーションといった狭義の意味での“テクノ・ミュージック”といった枠組みを打ち破るような幅広い活動を行なっている。

さて、前置きが長くなったが今作はリリース間近のニューアルバムの前作にあたる『Kesto』である。
何と言っても特筆すべきはこの作品が4枚組、およそ234分にも及ぶ超大作だということだろう。各ディスクに50分から70分という、正に1枚1枚がフルアルバムに相当するであろうヴォリュームの楽曲が収録されているという驚異的な内容の作品である。またそれぞれのディスクにはジャケット・アートワークが付随しており、これまでにそのサウンド同様一貫したミニマリズムを作品のアートワークに於いても展開していた彼らにとってこれらの様な写真を用いたジャケットは非常に珍しい。
(※収録時間が長い為今回の記事はDisc1&2そしてDisc3&4と2度に分けて紹介させて頂きます。)

Disc1冒頭はまず強烈なギターノイズの歪みまくった音の中それらに叩き潰されたような拉げたビートが淡々と打ちつける非常に緊張感と圧迫感に満ちた、幕開けを飾るに相応しい強烈な1曲である。
Disc1にはこれに代表されるようなまるで脳みそに直接高圧電流を流されるようなノイジーで刺激的な曲が多く、中にはかつてのデジタル・ハードコアを思わせるようなヘヴィなギターノイズが炸裂する#6“Rähinä II”のような曲もある。因みに“Rähinä”は英訳でMayhem(=破壊、混乱)を意味するものであり#1が“Rähinä 1”であり#6が“Rähinä II”、そして#10が“Rähinä III ”となっており、いずれもそのタイトルが示す通り暴力的なまでに荒れ狂うノイズに対してタイトに撃ちつけるビートがその中で僅かながら“楽曲”としての均衡を唯一保っているかのように感じられる作品である。
全てを聴き通せば分かるのだが、これら4枚にはそれぞれ朧ろ気ながら色分けやテーマ性のようなものが存在しておりそれらに沿ってアルバム毎のサウンドには様々な差異を持たせてある。

続くDisc2ではDisc1とは打って変って先程までのノイズをすっきりと削ぎ落とし浄化されたミニマルなビートに様々な表情の上モノで味付けを施した、4枚の中でも最も“テクノ”らしい作品である。
テクノらしい、とはいっても4つ打ちのビートは確かに存在するがダンスフロアの煌びやかな祝祭空間とはとてつもなくかけ離れた、内に篭ったような掴み所のない陰鬱でアブストラクトなサウンドが大半を占め退廃的な空気に拍車を掛けるようなトラックが多い。そんな中で唯一#1では浮遊感を伴った虹色の結晶を思わせるようなキラキラとしたピュアな電子音が印象的で、それらが入ることによってかつての冷淡で無機質な彼らのサウンドよりも遥かに表情豊かなものに変わったと感じられる。
それぞれのアルバムに於ける収録曲の後半は次のアルバムへと続く潤滑油のような幾分フラットな楽曲展開になっており、このDisc2の後半では比較的緩やかな重心低めのビートに抑揚を極端なまでに抑えたPan Sonicらしいダークアンビエント・トラックで一先ずDisc2の幕は閉じられる。
(残るDisc3&Disc4はまた次回.... 記事はこちら

Kesto(Disc3 & Disc4)

Pan Sonic-Kesto Disc3.Disc4
   ■Artist : Pan Sonic
   ■Title : Kesto(Disc3&Disc4)
   ■Label : Mute Records
   ■Release : 2004
   ■Sample :




Pan Sonicによる2004年にリリースされた4枚組、収録時間234分という想像を絶するヴォリュームの6thアルバム『Kesto』。(Dsic1とDisc2を紹介した記事はこちら

Disc1がカオスティックなノイズ、Disc2がアブストラクトな音響テクノときて続く3枚目、Disc3である。
振動するような微かなドローンが数秒続いた後にいきなりトイレの水を流すような音が聴こえる。タイトルは“Viemärimaailma(Sewageworld)”。つまり“下水(=Sewage)の世界”といった所だろうか。フィールドレコーディングしたと思しき何とも聴き取り辛い持続音が所々で反響しノンビートのままおよそ10分に渡って展開されていく。これらの事からおおよその察しがつくと思うがこの3枚目では非常に実験的な音響作品が収録されている。#2“Käytävä”では静から動へ、そして動から静へというサイクルが緩やかなドローンとしてノイジーなサウンドを伴って時に目まぐるしく変化していくスリリングなトラックで緊張の糸が再びピンと張りつめる。その後は時折激しいノイズも織り交ぜながら中盤以降、静謐な微音が展開されていきラストは幾つかの信号音が現れては消え、静かに交錯しそして拡散するというもはや”音楽”という形はこの信号音と共に遥か彼方へ拡散したようなエクスペリメンタルな電子音が一切の感情や意図を感じさせる事なく静かに放たれる。

最後のDisc4には“Säteily(Radiation)”つまり“放射線”と題された61分にも及ぶ1曲のみが収録されている。ここではDisc3のラスト#8“Linjat(Lines)”で聴く事の出来た信号音によって放たれたか細いラインがやがて1つの大きな大河となって緩やかな変化を繰り返しながら61分という時間の中で壮大なるスケールのドローンとして展開されていく。だがここでも音に一切の感情の起伏は感じられない。在るのは只ただ照射を続ける放射線の揺らめきを思わせるような“音”だけである。そしてその先には絶対零度の宇宙空間に只一人漂流しているかのような極低音の寒く美しくそして孤独な世界が広がっているのである。

これら4枚、およそ234分にも及ぶ巨大なサウンドの欠片はまさしくPan Sonicとしての一つの到達点でもあり様々なサウンドを内包した彼らの集大成とも言えるような作品である。力や持続を意味するという『Kesto』というアルバムタイトルも彼らの一つの集大成を表すに相応しい言葉である。
そしてその集大成でもある『Kesto』からおよそ3年の歳月を経た2007年の5月、Pan Sonicの二人による新しいアルバム『Katodivaihe/Cathodephrase』がリリースされるのである。

Lemodie

Ochre-Lemodie
   ■Artist : Ochre
   ■Title : Lemodie
   ■Label : Benbecula Records
   ■Release : 2006
   ■Sample :
   myspace.com

2004年にToytronicよりリリースされた1stアルバム『A Midsummer Nice Dream(→過去記事)』が重厚なアンビエンスとIDM/エレクトロニカの本流を行くような王道的なピュア・サウンドで密かに話題になっていたイギリス出身のアーティスト、Christopher Scott LearyによるソロプロジェクトOchre。
彼のOchre名義による2ndアルバムが一昨年、スコットランドに拠点を置きPrhizzm、Syntaks、Christ.などのアーティストを抱えるBenbecula Recordsよりリリースされた。

今作ではピアノ、ハープ、ストリングスといった生楽器の音色を大胆に導入しながらもキメの細かい精緻な音使いで煌くようなエレクトリックな要素は決して損なう事なく、非常にバランス良く互いを折衷させ纏め上げた作品となっている。また緩やかなダウンテンポから跳ねのある変則的なブロークン/ブレイク・ビーツまで多様なリズムを盛り込む事によって非常に表情豊かな作品に仕上がっていると言えるだろう。前作が重厚で陰鬱な雰囲気を多分に感じさせた作品だったのに対し今作ではある種ポップとも感じられる様な、より多彩な色合いを放った作品になっている。

壮厳でクラシカルな響きを持つ楽器の音色に叙情性に更に磨きを掛けたような美しいメロディー、アグレッシブなビート・プログラミングと細かなビート周りの音使い、特に#4『Infotain Me』のように次々と湧き出るように溢れる滑らかで瑞々しいメロディーラインに弾けるようなクリスプ・ビートの掛け合いはこのアーティストの最も得意とするサウンドではないだろうか。
そしてアルバム終盤、終曲前に見せる#9『Bluebottles』でのチェロ、ピアノによる物憂げな表情で魅せる美しくメランコリックな展開・・・・・と最後まで聴き所に溢れた素晴らしい作品。

Blue Shift Emissions

Christ.-Blue Shift Emissions
   ■Artist : Christ.
   ■Title : Blue Shift Emissions
   ■Label : Benbecula Records
   ■Release : 2007
   ■Sample :
   myspace.com

元Boards Of Canadaの〜、という飾り文句はもはや必要ないだろう。スコットランドはエディンバラ出身、Boards Of Canadaの二人とは『Twoism』を最後に袂を分かち自らレーベル『Hyperact』を興す側ら、生まれ育った歴史深い古都エディンバラを拠点に活動するChrist.ことChristopher Horne。
彼の2ndフルアルバム『Blue Shift Emissions』が当初のリリース予定だった2006年夏よりもやや遅れる形で2007年に入りようやくBenbecula Recordsよりリリースされた。

2003年にリリースされた1stアルバムでは以前より彼が好んで使用しているというムーグやアナログシンセ、ドラムマシンといった所謂“時代遅れ”なテクノロジーを用いて作られたローファイで暖かみのあるサウンドがラップトップ主体のエレクトロニック・ミュージックの世界の中で静かながらも確かな楔を打つ事となったがそれからおよそ4年、今作に於いてもその魅力的なサウンドは健在である。
彼が音楽制作において最も重きを置くというメロディーに関しては今作でも印象深いラインが幾度となく登場し、単に“メランコリック”や“ノスタルジック”という一言で片付けてしまうには余りにも多くの感情を孕んでいるように感じられる。更に今作ではリズムが遥かに強度を増しており、揺さぶるような歪んだビートが時折ノイジーとさえ感じられる程であり、曲を引き締める役目を大いに担っている。
そして霞が掛かったような独特のザラついた質感の音響処理に加えて壮大なスケールで描かれるサウンドスケープは何時しか過ぎ去りし神話の森の中に迷い込んだような不思議な錯覚に陥る。

彼の作る神秘的で秘密めいたサウンドには彼の出自であるスコットランドを含めたケルト文化圏に於いて現在も僅かながらに息づく自然崇拝や精霊信仰といった近世とは逆行した世界観や価値観が少なからず影響しているように感じられる。彼のサウンドを語る上でよく用いられる“ノスタルジック”というキーワードには単なる彼の中に実存する記憶に対するものだけにではなく、むしろこういった神話が息づいていた時代に対する強い憧憬の想いが込められているのではないだろうか。

Inward CTRL

Alex Cortex-Inward CTRL
   ■Artist : Alex Coltex
   ■Title : Inward CTRL
   ■Label : Ann Aimee
   ■Release : 2003
   ■Sample :
   myspace.com

ドイツ出身のアーティスト、Alexander NeumannによるAlex Coltex名義の3rdアルバム『Inward CTRL』。これまでにSourceやKanzleramt、Klang Elektronikといったレーベルから作品を発表してきたが今作ではオランダはアムステルダムを拠点にヨーロッパに於けるデトロイト・フォロワーの代表的なレーベル、Delsinのサブ・レーベルにあたるAnn Aimeeからのリリースとなっている。
3面の観音開きになるジャケットのデザイン、及びアーキテクチュラルなグラフィック・アートはこのレーベル全てのアートワークを手掛ける同じくアムス出身のグラフィティ・ライターDeltaによるもの。

タイトルは全てが「Untitled」、72分で24曲が収録されておりそれぞれが2分から3分という小曲で構成された作品な為やや散漫なイメージは受けるが1曲1曲のクオリティーの高さやそれぞれの楽曲で見せる多彩なビートアレンジはやはり白眉の出来。彼の特徴でもある非常に透明感溢れる音色やフューチャリスティックな感覚、ヨーロッパ独特の耽美的で洗練された世界観は3分という短い時間の中でも充分に堪能できる。

他の作品を聴いても分かる通りAlex Coltexというアーティストは4つ打ちの軽快なダンス・トラックから緻密で繊細なリズムが飛び交うブレイク・ビーツ、ディープなリスニング向けのアンビエント・トラックまで何を作らせても非常にアベレージの高い作品を聴かせてくれる全方位型アーティストとも言うべき才人で今作でもどれもがクリアーでロマンティック、美しい美意識に彩られた作品なだけに敢えて難を言うならばやはり曲数を絞ってでももう少し各曲をじっくり聴きたかったという所だろうか。
尚、今作をリリースした2003年以降は多くの作品を自身が主宰するPathmusickからFree MP3作品としてリリースしており、ほぼ全ての作品を自由にダウンロードする事ができる。