銀盤四季調
... 2006.06.23.[Fri]

■Artist : Harp On Mouth Sextet
■Title : 銀盤四季調
■Label : Imagined records
■Release : 2006
■Sample : ♪
京都在住の音楽家、Rubyorlaによる電子雅楽ユニットHarp On Mouth Sextetが4年ぶりとなるニューアルバム『銀盤四季調』をリリースした。電子音楽と雅楽という歴史的な流れで見ても対極に位置するような二つの要素にRubyorlaは新鮮でいてスリリング、そして煌びやかに輝く空気を取り込み非常にエネルギッシュ且つエキサイティングな作品を作り上げた。
まずこのユニットはRubyorlaを含む男性二人と女性6人+αの混成ユニットなのだが驚くべきは雅楽を演奏するのに笙や篳篥、竜笛といった伝統和楽器を用いずに改造されたブルースハープを始め自作の楽器で演奏し表現している所である。この作品で聴ける雅楽特有の非常に伸びやかで格調高い管楽器系統の演奏はその改造された自作楽器によるものだというのだ。
それらの改造ブルースハープの複雑に絡み合う倍音の中、電子パーカッションによる性急で緻密なビートが疾走し格式高く厳かで雅な空気をより一層に引き締める。
本来、雅楽を奏でるのに用いる伝統的和楽器の一つ「笙」の音色は“天から差し込む光”を表すと考えられている。
特にこの「笙」の音色を意識したと思われる自作の改造ブルースハープによるリフレインはまさに雲間から差し込む陽光のように神々しく輝き、それらが次第に幾重にも重なり合い壮厳な光のカーテンの如きドローンへと変化していく様は正に圧巻の一言。非常にスケールの高いトランス感覚を味わえる。それらに加えて電子パーカッションの原始的なグルーヴは天へと上昇するような高揚感を持って曲中をうねるように駆け抜ける。
久しぶりに聴いていてワクワクする作品に出会った。これはデジタルとアナログを繋げ平成から平安を駆け抜ける全くもって古典的でありながら新しい音楽である。
打ちつけるビートは高鳴る心臓の鼓動にシンクロし、重なり合う音色は悠久の時の流れを夢想させるだろう。
Deep(er) Distance
... 2006.06.18.[Sun]

■Artist : Joaquin Joe Claussell
meets Manuel Gottsching
■Title : Deep(er) Distance
■Label : Mg Art
■Release : 2006
■Sample : ♪
アフロ、ジャズ、トライバル、ラテンと様々な音楽的要素を取り入れディープで奥深い世界を作り出すスピリチュアル・ハウスの先鋭的なリーダー、Joe ClaussellがManuel Gottsching/Ashraの過去の作品『The Private Tapes』シリーズ(その名の通り自身が秘蔵していた未発表/デモ音源を集めたシリーズ)の中から『Deep(er) Distance』、『Ain't No Time For Tears』の2曲にエディットを施してリリース(#3『Shuttlecock』のみ'76年に行なわれたGottschingのライブ音源とのこと)。
昨年同じく本作品に収録されているDeep Distance−Joe Claussell Remixのブート盤が出回っていたようだが今回の作品はおそらくその正規盤にあたるもの。
表題曲でもある#1『Deep(er) Distance』は約20分にも及ぶ壮大なミュージック・ジャーニー。
Gottschingのウネリまくるサイケデリックなギターとダビーで湧き上がるようなSE、そして多幸感に溢れたオプティミスティックなシンセサイザーの音色に力強いキックが絡み、駆け抜けるような疾走感を携えた非常に覚醒的かつトリッピ−なダンストラックとなっている。中盤から挿入されるGottschingのギターソロはまさに曲中を泳ぎ回るといっても良いぐらい自由にそして奔放にリズムの隙間を縫うように奏でられる。
#2に於いてもGottschingのギターソロは大胆に曲中を駆け回るがこちらはサイケデリックというより軽やかで非常に軽快。渇いたパーカッシブなビートを基調に情熱的なエレピが絡み何とも躍動感に溢れたJoeらしいラテン・ハウスに仕上がっている。
そしてアルバムのラストを飾る1976年に録られたというライブ音源では陰鬱に迫り来るシーケンサーの中をGottschinのギターがミニマリスティックに奏でられるやや内省的なアンビエント曲。シンセサイザーによる重層的なドローンはやはりこの時代特有のものか。
3曲収録と少し物足りなさを感じるが『Deep(er) Distance』は素晴らしい出来なのでこれだけでも満足。ジャケットのアートワークにある虚ろな目をしながらギターを抱える若かりし日のGottschingの写真がまた酩酊感が漂っていて非常に良い。
Will I Dream During The Process?
... 2006.06.18.[Sun]

■Artist : Yagya
■Title : Will I Dream During The Process?
■Label : Sending Orbs
■Release : 2006
■Sample : ♪

アイスランド在住のアーティストAðalsteinn GuðmundssonはYagya名義において2002年当時、ポスト・テクノを掲げる最も先鋭的なレーベルForce.incからリリースされた『Rhythm Of Snow』(→過去記事)というたった1枚のアルバムで多くのテクノ/アンビエントファンを魅了する事となる。
しかしながらその評価とは裏腹にその後の彼の動向や情報は一切入って来ず、謎に包まれた匿名性と作品の持つ高いポテンシャルのみが一人歩きをしている状態だった。そして2004年、ネットレーベルSutemosのコンピ『Flow.ers』に突如として作品を2曲提供し『Rhythm Of Snow』を更に深化させた続編とも言うべき内容で再び密かな話題となりこれを聴いた多くの人が新作のリリースを期待していた事だろう。
前置きが長くなってしまったが遂に彼のYagya名義での作品がリリースされた。発売は一昨年前から非常に個性的かつ独創的なサウンドやアートワークが特徴の新進レーベルSending Orbs(→レーベル関連記事)から。
サウンドの軸にあるのは前作同様Basic Channel譲りのミニマルで不透明、孤高のアンビエント・ダブ志向のものなのだがこの人の特徴はそのアブストラクトな音像とは相反した非常に情景的/映像的なサウンドである。ジャケットのアートワークやそれぞれの曲のタイトルからも読み取れるように今作でYagyaの音楽は物語性を携え、更なる独自の世界観をこのアルバムで築き上げている。
壮大なシンセワークは寄せては返す波のように押し寄せ聴くものの耳を優しく包み込む。そして繊細な音響処理によって濃い霧の陰るようなサウンドスケープを生み出し広がりゆく空間は異世界へのゲートへ繋がるような神秘的なものとなっている。リズムはやはり不透明でフィルターを通したようなくぐもった印象だが前作に比べよりダンサブルになり瑞々しさすら感じられるものとなっている。
そして何と言っても驚くべき点は今作は非常に官能的で柔らかな暖かみを感じさせるものとなっている事である。ディレイの掛かったダビーな音響によって閉ざされた視界の狭間からは女性の囁くようなコーラスが時折現れ非常にエロティックな印象すら感じる。
体感温度は極めて低く人肌も感じさせずに、ただひたすらに白銀の世界が広がる雪景色をイメージさせ孤高の音像を披露した前作とは対照的とも言えるだろう。
しかしYagyaは確実に進化を遂げて我々の前に帰ってきた。
きっとこのアルバムもこれから先、何年と聴き続ける事の出来る素晴らしい作品となるだろう。
Lowlights From the Past and Future
... 2006.06.17.[Sat]

■Artist : Lawrence
■Title : Lowlights From the Past and Future
■Label : Mule Electronic
■Release : 2006
■Sample :♪

過去にNovaMute、Kompakt、Ghostly Internationalなどから美しく繊細な音響ハウス作品を発表し自身もレーベル、Dialの運営に携わるPeter M. Kerstenによるソロ・プロジェクトLawrence。
彼の最新作はLawrence名義による既発曲も含むオリジナル・トラックから自身が手掛けたリミックスなどをまとめた編集盤。一昨年発売された『The Night Will Last Forever』(→過去記事)において最早燻し銀の如き渋い魅力を放っていたがここでもやはりそれは健在。
物哀しげなメロディーに音数をぐっと絞り上げたストイックな展開と触れれば脆く崩れてしまいそうな繊細なサウンドは絶妙なアンビエンスを感じさせ相変わらず出口も入り口もない迷宮を朦朧と彷徨うような非現実感漂うサウンドを聴かせてくれる。それだけでなく今回は過去のリミックス作品も収録ということでビートを強調しフロアを意識したグルーヴィーなサウンドを聴く事もできる。
中でもSuperpitcher『Happiness(Lawrence Remix)』は美麗な上モノの中をオルゴールのような繊細な音色が鳴り響き力強いキックがこだまし粘着質なヴォーカルが絡むという非常に甘美でメランコリック、陶酔感の強い作品に仕上がっている。
オリジナル曲では#5などは意外に軽やかで跳ねるようなリズムが特徴的。いつもの切ないメロディーはやや控え目でチャカポコとした抜けのよい軽快なリズム主導のダンス・トラックとなっている。
アルバム11曲中リミックス曲は4曲収録されているが個人的な事を言うとオリジナルの方が断然魅力的。この孤独でどこか切なく透明感のあるサウンドは聴いてるとホント吸い込まれてしまいそうな不思議な魅力に満ちている。
Orchid
... 2006.06.03.[Sat]

■Artist : Ishq
■Title : Orchid
■Label : Dakini Record
■Release : 2002
■Sample : ♪
イギリス在住のアーティスト、Matt HillierによるソロプロジェクトであるIshq名義での2枚組110分にも及ぶ1stアルバム「Orchid」。Orchidとは美しく華麗な花弁を持つ“蘭”を意味する。
リリースは民族楽器と電子音をハイブリッドした非常に水準の高いエスノ/ワールド/サイケデリックなアンビエント作品を数多くリリースしている東京のレーベル、Dakini Recordより。
アルバム序盤を除き殆んどがノンビートで展開しておりフィールド・レコーディング、ドローン、生楽器を多用しながら緩やかな変化を遂げるアンビエント作品となっている。
中でもフィールド・レコーディングによる自然が紡ぎ出した音が何とも心地よく神秘的で壮麗なシンセサイザーの音色とうまく絡み合っている。
この音はおそらく自身がそれまでのロンドンの喧騒と音楽ビジネスから離れひっそりとしたコーンウォールの森で生活しながら自由な創作活動と精神活動の中で得られたものであろう。
清廉で淀みのない水流の音、その中で次々と弾ける水泡、風に揺れる木々のざわめき、暗闇の中でひっそりとこだまする虫の鳴き声、朝日の訪れを祝福するかのような小鳥のさえずり、それら全ては澄み切った美しさを持つ自然の中で繰り広げられる日常の光景であり、おそらく彼が森での暮らしの中で見つけたささやかな安らぎの瞬間であったのかもしれない。それと共に時に霧のように朧気に聴こえる女性の歌声や絹のようにしなやかでいて柔らかく包み込むようなシンセサイザーの流麗な音色が重なり合い聴く者をコーンウォールの森深くへと誘う。
民族楽器も各所で用いられオリエンタルな空気が表現されているが特にアジアの民族楽器が持つ特有の湿度や肌に纏わりつくような粘度は幾分控え目でエキゾティックな雰囲気の中にも静けさと気品と洗練された空気を併せ持つメディテーショナルな作品となっている。
『LOTUS 2nd Anniversary』
... 2006.06.01.[Thu]
蝋燭デコやらせてもらいます。是非遊びにいらしてください。

『LOTUS 2nd Anniversary』
2006.07.01 Sat
@音屋
神戸市中央区加納町4丁目9-14岩崎ビルB1
TEL : 078-393-2758
OPEN 22:00
DOOR 2,800yen W/1DRINK
WITH FLYER 2,500yen W/1DRINK
Dj:
JUZU a.k.a. MOOCHY (NXS/CROSSPOINT) _Fukuoka
フジタ トモユキ (Lotus/MARVAIS label/Unizon) _Osaka
Flyer art :
SEIGOFUKUDA _Osaka
Candle :
kinya(新人類)_Kobe
PA :
Pooh (AJISAI) _Kobe

『LOTUS 2nd Anniversary』
2006.07.01 Sat
@音屋
神戸市中央区加納町4丁目9-14岩崎ビルB1
TEL : 078-393-2758
OPEN 22:00
DOOR 2,800yen W/1DRINK
WITH FLYER 2,500yen W/1DRINK
Dj:
JUZU a.k.a. MOOCHY (NXS/CROSSPOINT) _Fukuoka
フジタ トモユキ (Lotus/MARVAIS label/Unizon) _Osaka
Flyer art :
SEIGOFUKUDA _Osaka
Candle :
kinya(新人類)_Kobe
PA :
Pooh (AJISAI) _Kobe








