E2-E4

MANUEL GOTTSCHING E2-E4
   ■Artist : Manuel Göttsching
   ■Title : E2-E4
   ■Label : Spalax
   ■Release : 1984
   ■Sample :




今日4月29日と明日30日、静岡県は富士宮市で行なわれるanoyoの野外パーティー“PRISM”で奇跡の、そう奇跡といっても決して過言ではないManuel Göttschingの野外ライブが行なわれる。
(来日としては確か2度目)

ジャーマン・プログレッシブ・バンドAsh Ra Tempelのギタリストであり、1975年にリリースされたギターのみで多重録音されたアルバム「Inventions For Electric Guitar」で自身のサウンドの大きなターニング・ポイントを迎え以降は実質Manuel Göttsching一人のソロ・プロジェクトとなり後の1984年にリリースされたこの本人名義での「E2-E4」は「Inventions For〜」以降彼が挑戦してきたミニマリズムへの夢想を結果的に最も象徴的な形として作品化したものであり(実際には作品化は本人も考えておらず当時1時間で1発録りしたKlaus Schulzeに聴かせる為だけのものであった)現代に於いても今尚多くの人を魅了して止まないサウンドである。

構成としてはおよそ60分で1曲ノンストップという形で展開される大作でありここで表現されたリズムマシンと彼のエレクトリック・ギターによるミニマルな演奏から生み出される酩酊的なトランス感覚は後のテクノを始めとしたダンスミュージックの雛型の一つとして90年代に再評価もされている。
とにかく突き抜けるような疾走感と共に揺らめく電子音の中をフワフワと水中に永遠に漂っているような不思議な漂流感覚に満ちた作品であり、特に30分以降に展開される彼の少し前時代的で哀愁を帯びたブルージィーなギターフレーズが妙に電子音とマッチしていて心地がよい。
そして永遠に流れていくような楽観的で享楽的とも取れる麻薬的なシーケンスの中繰り広げられるGöttschingのギターはどこか悲しげでまた孤独感すら漂っている。

ノンストップとは言いながらも実際にはいくつかの展開で構成されており60分という大きなスパンをもってミニマルながら徐々にサウンドは変化を遂げ特に中後半は前半に比べ怒涛の盛り上がりを見せ最後には静けさと共に永遠に続くと思われた60分に終わりを告げる。


Melt 2

audio active-melt 2
   ■Artist : Audio Active
   ■Title : Melt 2
   ■Label : Beat Records
   ■Release : 2004
   ■Sample :




これはHappersのHappersによるHappersのための極上の音楽だ。
冒頭から身も蓋もないことを言うようだが本当なのだから仕方がない。
日本葉族代表、ウィード・スペシャリスト、ユーモアと洒落を煙で包み込むAudio Activeによるど直球、どストレートな“Stoned”をテーマにしたサウンドトラック「Melt」シリーズの第二弾アルバム。
今回は標高1,200mの山中に機材を持ち込み録音するという想像するだけで・・・・なシロモノ。

本アルバムでは過去の作品で見せた唸るベースラインやハードなドラム、過剰なまでのエフェクトを使用したアグレッシブなダブサウンドは幾分鳴りを潜めメランコリックなメロディーとスモーキーなアンビエント志向のダブを余すことなく披露した非常に酩酊度の高い作品となっている。
乾いたドラムは相変わらず煙たいフィルターを通し響き渡り、煌くような音の結晶が更なる深みへと誘う。エレクトロニクスも多用した効果音はまさに“トビ”を抽出し練り上げたようなスペーシーさと浮遊感に満ちている。中でもアコースティック・ギターの音色を取り入れた#4が堪らなくいい。
雨音が静かに響く中、繰り返される少し切なげなアコギのフレーズと中盤辺りから挿入されるサイケデリック且つブルージーなギターが絡み合い哀愁さの中に強烈な歪みとトリップ感覚を味わえる曲となっている。

もう一度言おう。
これはHappersのHappersによるHappersのための極上の音楽だ。
何故?なんて野暮なこと聞くのはやめにしよう。
目の前に溜まった灰の山だけがそれを証明してくれるのだから。


17 Pictures

17 pictures
   ■Artist : 17 Pictures
   ■Title : 17 Pictures
   ■Label : Madeleine Records
   ■Release : 2005
   ■Sample :




Wunder、Wechsel Garland名義でも馴染み深いドイツはケルンのアーティストJörg Follertによる新プロジェクト、17 Pictures名義での1stアルバム。
本作品は日本のMadeleine Recordsより世界に先駆け日本先行盤としてリリースされたもので全20曲収録、各々が2〜3分という小曲で構成されている。

彼自身がこれまでの作品で表現してきた「オーガニック・エレクトロニカ」とも呼べる作風はこの17 Pictures名義でも健在。もはや燻し銀の如き熟成されたサウンドは良質な室内楽としての味わい深さすら感じられるものとなっている。
ギター、ピアノ、ビブラフォン等のアコースティックな楽器をふんだんに盛り込みながらそれらの欠片を縫い合わせるかのように慎ましい電子音の繊細なテクスチャーが丁寧に隙間を紡いでゆく。
様々な楽器の持つピュアな音色は鮮烈なカラーを放つのではなく、どこかくすんだ色彩を帯びながらセピア色に彩られた20の楽曲たちはカンバスに様々な情景を描いてゆく。

それらが描き出すのは記憶の中で霞んでいた「在りし日の光景」である。
彼の音楽に触れているとノスタルジーやサウダージといった一言では片付けきれない複雑な思いが次々と頭の中をよぎり錯綜する。
懐かしい色、懐かしい香り、懐かしい音、そして懐かしい記憶。
手を伸ばそうとも決して辿り着けない「在りし日の光景」への強い思いが彼の音楽を余計に切なく、美しいものへと変えてゆく。

彼の音楽に流れるこれらの一定のリズムは決して情感に激しく訴えかけようとはしない。
緩やかな振動を持って静かに感情に訴えかけるのである。


Personal Settings

Quatermass-personal settings vol.1
   ■Artist : Various Artist
   ■Title : Personal Settings
   ■Label : Quatermass
   ■Release : 2001
   ■Sample :




Quatermassレーベルからのコンセプチュアル・シリーズ、Personal Settings 。
Quatermassは実験/前衛を主軸にした電子音楽を提示し続けるベルギーのSub Rosaのサブ・レーベルであり作風としては4つ打ち〜エレクトロニカ、ポスト・ロック辺りの親元であるSub Rosaに比べやや通俗性の高い作品をリリースしているレーベルでもある。
今作はQuatermassの“アーティストごとに15分間という制限のもと楽曲を制作する”というコンセプトのもと立ち上げられたPersonal Settingsシリーズの第1弾。参加アーティストはPan American、Komet、Fisherofgoldの3アーティストでどちらかといえば音響系に特化した人選。

全体的にかなりダビーなアプローチの曲が目立つが冒頭から深く打ちつけるビートがこだまし物哀しいピアノのワン・フレーズが印象的なPan Americanの意表を突いた低温トラックに始まり、続くKometはBasic Channel譲りのマイクロスコピック×ミニマル・ダブを披露している。
しかしディレイやエコーの掛け方は幾分あっさりとしていて尾の引くような煙たさは抑えられその分グリッチーな音使いが目立つ辺りは音響パルス系のKometならでは。

トラックリストを見てもらえればわかるがラストのFisherofgoldに関しては1曲のみ。しかしながらアルバム中最も印象的な曲とも言える。
ザラついた触感のレイヤーにきめ細かい微細なノイズが散りばめられ焦点のぼやけたドラムが深く脈打つ。アコースティック・ギターの風にかき消されそうなかすかな響きのもと、時折空から星が降ってくるような煌く音の粒子が駆け巡りその度に目が眩む程に美しい瞬間が訪れる。
1曲およそ15分にも及ぶ長尺な曲ながら移り行く展開の中で表情を変えながら暖かい光に包まれているような壮大な昇天系アンビエントのこの曲でアルバムは静かに幕を下ろす。


Goodbye Fear

Montag-Goodbye Fear
   ■Artist : Montag
   ■Title : Goodbye Fear
   ■Label : Rallye Records
   ■Release : 2005
   ■Sample :
   myspace.com


一昨年リリースされたアルバム「Alone, Not Alone」も記憶に新しいカナダはモントリオール出身のアーティストAntoine BédardによるソロプロジェクトMontagの同じく昨年に日本のレーベルRallye Recordsから独自企画盤としてリリースされた7曲入りミニアルバム「Goodbye Fear」。

「Goodbye Fear」(=恐れとの決別)と題された通り、ネガティブなエネルギーやストレスを全く感じさせず音の1つ1つがキラキラと輝いているようなMontagらしいロマンティックな作品となっている。
可愛らしくスキップするような電子音によるエレクトリックなビートに自身による甘く囁くようなボーカル、ハープやアコースティック・ギターを始めとした弦楽器系統の流れるような華麗な響きを嫌味のない突き抜けたポップさをもって包み込んでいる。
晴れ晴れとした心地よいメロディを前面に押し出した結果、負の感情やイメージを一切寄せ付けない力強さと朗らかさを兼ね備えた作品に仕上がっていると言えるだろう。
彼自身はカナダの出身ではあるが1stアルバム、2ndアルバム共にフランスのエレクトロニック・ミュージックを代表するレーベルの一つでもあるGooomからリリースされただけあってフレンチらしい洒落たセンスとキュートさも感じられる。

全編に渡って淀みなく展開されるキラキラと眩いポップ・エレクトロニカ。


Haunt

Cosiner & Capital-Haunt
   ■Artist : Cosiner & Capital
   ■Title : Haunt
   ■Label : Beautiful Angry Music
   ■Release : 2005
   ■Sample :




アメリカは西海岸を拠点として活動するビートメイカーCosinerと、西海岸と日本を跨ぐヴァイリンガル・ラッパーShing02を擁するバンドTerracotta Troupeのギタリストとして活動してきたCapitalによるコラボレーション・インストアルバム「Haunt」。
これはCosinerによるスウィンギーな心地よいビートプロダクションとCapitalの美しくメロウな旋律のギターが溶け合った最高に気だるくルーズなチルアウト作品である。

決して奇を衒うことなく非常にオーソドックスかつ落ち着いたジャジーなブレイクス・スタイルで地にしっかりと足のついた円熟味すら感じさせるビートメイクを展開し哀愁香るアコースティック・ギターとピアノの甘く切ないメランコリックな音色を全面に打ち出した非常にリラックスした空気と緩やかな時間が伝わってくるような素晴らしいセッション・アルバムとなっている。
ぽろぽろと奏でられるミニマルなギターフレーズに暖かみのあるピアノの響き、そしてそれらに実にあっさりと絡むドラムライン、互いの間を生かした演奏で巧みに静謐感を生み出している。
中でもラストを飾る#10はアルバム中最も穏やかな表情を見せた曲となっており体を骨抜きにされてしまうぐらいのメロウで甘い空気に包まれる。

まどろみの中の気だるくゆるいサイケデリアといった所だろうか。
だから穏やかな週末の昼下がりにはこいつを聴きながらゆるい時間を過ごしたい。
決して焦ることなく急ぐことなく、幾分レイドバックしたアルバムの空気と共に歩調をゆっくりと合わせるように。


A Midsummer Nice Dream

ochre
   ■Artist : Ochre
   ■Title : A Midsummer Nice Dream
   ■Label : Toytronic
   ■Release : 2004
   ■Sample :
   myspace.com


今年の7月にはChrist.擁するBenbecula Recordsより待望の2ndフルアルバム「Lemodie」のリリースが決定しているOchre。Ochreはイギリス出身Chris Learyによるソロプロジェクトである。
こちらの1stアルバムは古き良きIDMサウンドを現在も継承し続けるToytronicよりリリース。
決して強く目を引く派手さは無いが伝統的なIDMスタイルに乗っ取った純正のエレクトロニカであり、きめ細かいビートアレンジなど現代的なエッセンスも盛り込んだ秀作。

クリスピーなクリック・ビートとアトモスフェリックな浮遊感に富んだ上モノにクリアで清廉、少し切なげなメロディーが融け合い細やかなギミックを随所に盛り込んだ音使いが特徴的。
アルバム全体としては比較的緩やかなBPMのダウンテンポ/ノンビートのアンビエント中心でやや陰鬱な雰囲気の曲で構成されている。

が、しかし一転して#6「Drink Malk」に於いては一気に眼前が開けたようなこれぞToytronic節全快といった感じのグルーヴィーでアグレッシブな1曲となっている。
小気味良く軽妙に跳ね廻るアップリフティングなビートと淀みのないピュアで澄み切ったメロディー、ロウ・ビットのチープでキッチュな音使いが非常に印象的でそれまでの何処となく沈んだ空気を一蹴するような曲となっている。
クラシカル且つ重厚感溢れるサウンドを中心としながらも決してシリアスになり過ぎず、それをさらりと受け流すような器量と遊び心を持ち合わせた作品。


Sigur Ros JapanTour2006@大阪なんばHatch

live

live

Takk...


行ってきました、Sigur Ros Japan Tour 2006@大阪なんばHatchに。

Sigur Rós

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Sigur Ros

Sigur Ros-Von  Sigur Ros-Agaetis Byrjun  Sigur Ros-( )

Sigur Ros-Takk....  Amina-Animamina  The Album Leaf-In A Safe Place


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Sigur Rós Official Website - Eighteen Seconds Before Sunrise
Sigur Rós - Myspace.com

( )

Sigur Ros-( )
   ■Artist : Sigur Rós
   ■Title : ( )
   ■Label : Fat Cat Records
   ■Release : 2002
   ■Sample :
   myspace.com


前作「Ágætis Byrjun」で得た世界的認知/評価の後、2002年にリリースされたSigur Rósの3rdアルバム「( )」。
そう、このアルバムに明確なタイトルはない。ただ記号( )のみで表されている。
それはアルバムタイトルだけに留まらず収録されている楽曲全てにタイトルは無く「無題」として聞き手のイマジネーションに全てを委ねるという(歌詞も全てヴォーカル、jónsiによる造語「ホープランド語」で歌われている)非常にコンセプチュアル/実験的な作品でもある。
そして今作は前作に比べて更にナイーブで非常に内省的な作品のように感じられる。

が、彼らの奏でる音はやはり美しい。

前作に顕著に見られた爆発的なエネルギーの放出によるダイナミズムはこの作品では感じられない(それでもラストの曲だけは別格)。
まるで方々へ拡散していた膨大なエネルギーが今作では内へ内へと収束していくようである。
その為かサウンド自体も非常に陰鬱として内に篭った印象を受ける。
jónsiの歌声も時に嘆きのように感じられ悲壮感が漂っている。
演奏自体は非常にクラシカルな響きを持っているがディストーション・ギターによる歪みは悲痛の叫びのように感じられ突き刺さるように痛い。ドラムはまるで自身の傷を掻き毟るように激しく、しかし寡黙に打ちつけられる。そしてピアノの物哀しい音色がさらにそれらの感情を後押しをする。
彼らの持ち味の一つでもあった多幸感に溢れた祝祭的な空気は殆んど感じられず静的な定位を保ったヴァイブレーションがアルバム全体を支配している。

が、やはり彼らの奏でる音は美しいのだ。

非常に儚く危な気で、か細いロープの上を綱渡りしているような不安定さが見られるがそこには究極に美しい「何か」が在る。
この不確定な「何か」こそ彼らの大きな魅力であり多くの人を惹き付ける理由ではないだろうか。


Ágætis Byrjun

Sigur Ros-Agaetis Byrjun
   ■Artist : Sigur Rós
   ■Tltle : Ágætis Byrjun
   ■Label : Fat Cat Records
   ■Release : 2000
   ■Sample :
   myspace.com


いよいよ明日から始まる名古屋、大阪、東京、東京と4公演のJpan Tourを控えたアイスランドが世界に誇るバンド、Sigur Rós。今まで何度か彼らのアルバムを含め関連するディスクを取り上げてきたけどあと残り2枚ほど予習がてら紹介をば。

1999年にリリースされた2ndアルバム「Ágætis Byrjun」によって彼らの名とサウンドは多くの人に知られるようになった。これは1999年にアイスランドでリリースされたものが2000年にイギリスのレーベル、Fat Cat Recordsによってライセンス・リリースされたもの。
彼らの出自であり活動の拠点となっているアイスランドという地からおよそ連想される雄大な大自然と神秘的なオーラを体現するかのようなサウンドからは何者にも染まらない汚れなき純真な存在でもありまた全てを包み込むような母性すらも感じさせる。

ストリングス、ピアノ、ホーン系を中心としたシンフォニックで暖かい響きを携えた演奏は時に夜空にたなびくオーロラのように幻想的でもあり、ディストーション・ギターによって掻き鳴らされ発せられた膨大なエネルギーの塊は荒波がうねる大海を思わせる。曲ごとに多用されるドローンはさながら荒涼とした大地に吹き荒ぶ乾いた風といったところだろうか。
「天使の声」とも形容されるヴォーカル、jónsiのアイスランド語と造語を組み合わせ綴られた歌声はおおよそ耳馴染みの無い多くの人間にとって非常に魅惑的な響きに感じられ時に荒々しく咆哮し、また時に語りかけるような囁きをもって歌われる。

アルバムの中後半からは畳み掛けるように繊細さと荒々しさの両極端の線上で揺れ動くドラマティックな展開を演出している。特にラストに近づくにつれて徐々に穏やかな楽曲へと表情を変えていき安堵感が押し寄せ最後には後のアルバムへ続くようなやや暗喩的な展開の楽曲で幕を下ろす。
1stアルバム「Von」に比べるとアヴァンギャルドな要素はかなり抑えられメロディアスでロマンティシズムに溢れた楽曲が揃っている。しかしながら濃密で高純度を誇った楽曲が揃い彼らの中でも間違いなく転換点に当たるアルバムであろう。