The Campfire Headphase

the campfire headphase
   ■Artist : Boards of Canada
   ■Title : The Campfire Headphase
   ■Label : Warp Records
   ■Release : 2005
   ■Sample :    
   myspace.com

待ちに待ったBoards of Canadaの3rdフルアルバム。
あの眩いまでの万華鏡的音世界を作り上げた前作「Geoggadi」が発売されたのが2002年だったからおよそ3年ぶりのリリースとなる。
(「Geoggadi」→ブログ内記事
今回の3rdアルバム「The Campfire Headphase」、まず一聴してメロディーに生のギターを取り入れていることがアルバムの印象を大きく変えている。
そしてそれはギターだけではなくリズムに於けるドラムにも同様の事が言えるだろう。非常にシンプルなメロディーとリズムだがその分、肉感的で表情豊かなサウンドになってるのは言うまでも無い。
彼らはインタビューで「60年代から70年代の映画のサウンドトラックを作るような気分でアルバム制作に取り掛かった」と言っていたが確かに錆付いて赤茶けた昔のフィルムを見ているような質感と錯覚がアルバム全体からは感じられる。

だがその反面、あの気だるいまでの倦怠感とこれでもかと不安感を掻き立てるような不穏な空気、いたずらに繰り返されるギミックという面では若干それまでのアルバムに比べて抑えられている印象も受けた。
三年の歳月が彼らから程よく毒っ気を抜いたのかな?
その分それまで抽象的に感じられたサウンドはより具体性を増し映像的になったとも言える。
中でも「Farwell Fire」は今にも足が地上から浮いてしまいそうになる浮遊感と微かに鳴り響くメロディーが最後の炎の揺らぎを表すかのようなアンビエンス感溢れるラストナンバーとなっている。

そして最後にライナーノーツにはマイクの言葉としてこう記してある。
「普通のポップ・アルバムが太陽に20年間さらされた感じなんだ」

そう彼らはこのアルバムで彼らなりの変色したポップ・ミュージックを表現したのだ。
さぁ、このアルバムを手に取り僕らは新たなTRIPへと出掛ける事にしよう。


Music has the right to children

music has the right
   ■Artist : Boards of Canada
   ■Title : Music has the right to children
   ■Label : Warp Records
   ■Release : 1998
   ■Sample :
   myspace.com

Boards Of Canadaの名を世界に知らしめ、また確固たる人気を決定付けた彼らの1stフル・アルバムにして未だ最高傑作の呼び声高いアルバム「Music has the right to children」。
能面ジャケットの不気味さと音の全体に漂う不穏な空気がこのアルバムを聴いた多くの人を虜にしてしまったのは言うまでも無い。

Twoism」では出せなかった重層的な音の厚みと、更に磨きがかかった腰にまで響くようなビートライン、メロディーはより甘美にそしてより幻想的な空気に満ち溢れている。
しかし全体を覆い尽くすのはまるで霞がかかったように不鮮明で取り留めの無い実体をしている音像である。
それはこちらが掴もうとするとスルりと指の隙間からすり抜けて悪戯に無邪気な笑みを浮かべている。
まるでスピーカーの、ビートの狭間の、自らの意識の、更に奥深くへ手招きしているかのようだ。
そうしている内に知らず知らず彼らの虜になっていくのだ。

彼らの曲中に使われている幾度となく繰り返されるヴォイス・サンプル、カウントされていく数字、子供の笑い声、意味深なタイトル。
それらに果たしてどんな意味があるのだろう?
何らかのメッセージがここには隠されているのだろうか?
もしかすると彼らは意味ありげな顔をしながら聴く者をまるで出口のない迷路に迷い込ませ、からかっているだけなのかもしれない。

だが幾ら僕が考えても答えはきっと出てこない。
だから今晩も彼らの出す音に身も心も委ねるしかないのだ。
あの悪戯に無邪気な笑顔に誘われるがまま。


Twoism

twoism
   ■Artist : Boards of Canada
   ■Title : Twoism
   ■Label : Warp Records
   ■Release : 2002
   ■Sample :
   myspace.com

1995年に自らのレーベル、Music 70よりアナログの100枚限定で発売されていた幻のミニアルバム。
コレクターの間では十数万円で取引されていたというのは有名な話。
それが2002年、Warpより奇跡的にリマスタリング&リカットにより再発された事でようやく陽の目を見ることになった。
そう、これがBoards Of Canadaにとって記念すべき世に出た最初のアルバムである。
そしてこれからエレクトロニック・ミュージックの世界に於いて一時代を築く事になる彼ら二人の産声が上がった瞬間でもある。
しかしこの1stミニアルバムにおいて彼らの哲学や音の世界観はある程度の形を既になしているのではないだろうか。
一聴してそれだとわかる独特の倦怠感と甘くメランコリックなメロディーライン。
今現在の彼らの音に比べると全体的に音数は少なく構成もミニマルでシンプルなものとなっているが、あのズシリとくるヒップホップ譲りのロー・ビートとまるで地に這いつくばったまま暫く起き上がれそうにも無い気だるいまでのサイケデリアによる重力はこちらの意識をあちらの世界に緩やかに誘う力を十分に有している。そしてそれはアナログな質感ながらこの頃から健在なのである。

そう、彼らの音楽は最新アルバムが発表された2005年現在までのおよそ10年間何ら変わっていない。
しかし変化はせずとも進化はしている。それは間違いないだろう。
そして勿論、深化も。


THE ISLE

the isle
   ■Artist : World Standard & Wechsel Garland
   ■Title : THE ISLE
   ■Label : P-Vine
   ■Release : 2003
   ■Sample :




―月がひっそりと佇む静かな夜、
一艘の小さな船が砂浜から海へと波間をゆっくりとかき分け漕ぎ出でた―

これはWorld Standardでお馴染みの鈴木惣一郎氏とKaraoke KalkMorrからのリリースでも知られているWechsel Garland(a.k.a Joerg Follert)の二人による「伝説の島−THE ISLE−を捜し求めて旅に出る」というテーマのもと制作された音によるファンタジーの物語。

それはまるで童話のサウンドトラックともいえる内容で、僕は昔大好きだった「エルマーの冒険」という物語を思い出してしまった。
牧歌的で優しいアコースティックな楽器の響きと人懐っこいメロディーは時にドラマティックに時にスリリングに聴くものの心にしばしの間の夢物語を見させてくれる。
それはもう決して帰ることの出来ない子供時代への強いノスタルジーでもあり、子供時代の純真無垢な記憶とその時描いていた自由な想像の世界への誘いでもある。

―珊瑚の海を抜け鯨の優しい歌声に耳をすまし月夜の明かりの下、
光の中にボンヤリと何かが見えた・・・・・

アルバムを聴き終えた後に訪れる強烈な感情のハレーションに強い眩暈。

さぁ、現実に戻らないと・・・・


                                     (「宇宙の排泄物」2005,05,31より)

Liberation Von History

Wechsel Garland
   ■Artist : Wechsel Garland
   ■Title : Liberation Von History
   ■Label : karaoke kalk
   ■Release : 2002
   ■Sample :




Wunder名義でもお馴染み、Jorg FollertによるWechsel Garland名義による作品(ややこしいよ)。
諸作同様、こちらも相変わらずドリーミィでいて牧歌的な音楽です。
Jorg Follertというと生音とエレクトロニクスの調和という今でこそ凡庸な手法をelectronicaというジャンルで初期に確立・成功させていたアーティストの一人ではないでしょうか。

本作でも生音は多用されていて何とも心地よいオーガニック&ラウンジーな室内楽という様相。様々な楽器によって生み出されたメランコリックなメロディーラインは流石の一言。
正に白昼夢的サウンド。
アルバムのトピックとしては後半に以外や以外、今までには見られなかったdubの要素を取り入れ新しい展開へ。
electronicaによく見られる冷え切ったミニマル・ダブのような手法のサウンドではなく、地の底から響くような乾いたドラムにホーンや哀愁のピアニカが絡むなど、ルーツを背景にdubという音楽にelectronica流のアプローチを施したような作風になっている。
ちょいと涼しくなった夏の夕暮れ、傾きかけた夕日を静かに望むような、まどろみの時間と空間をひたすら素晴らしく演出してくれる1枚。


                                     (「宇宙の排泄物」2005,08,20より)

Folk Songs For Trains, Trees And Honey

savath sava
   ■Artist : Savath & Savalas
   ■Title : Folk Songs For Trains, Trees And Honey
   ■Label : Hefty
   ■Release : 2000
   ■Sample :




Prefuse73でも大人気のScott Herrenの別プロジェクト、Savath & Savalasの1stアルバム。
コチラはPrefuse73とは打って変わりアルバムタイトルに「Folk Songs For Trains,〜」と銘打っているように生楽器主導によるアコースティックな手触りのアルバム。

Prefuse73がhip hop的ビートプロダクションに重きを置いているのに比べSavath & Savalasではもっと肩の力を抜いた感じのレイド・バックした叙情的なメロディーが特徴のアナログ・サウンド。
また奇を衒ったようなヴォイス・サンプルやビートラインも殆んど抑えられ、全体的にジャジーな雰囲気溢れるオトナなアルバムになっている。

しかし所々で微かながら聴こえてくるチリチリ、ザワザワといった電子音やカットアップされた妙なコラージュ音辺りは彼の遊び心も垣間見え、それが美しい情感的なメロディーと緩やかな丘陵を描くような生楽器のアンサンブルに邪魔することなく溶け込んでいる。
まるで、のどかな田園風景を眺めているようなゆったりとした時間を聴く者に感じさせてくれる。
毛色としてはTORTOISEの「T.N.T」にも近い印象でCICAGO POST ROCK勢ともリンクするような音使い。
ジャケットも・・・お洒落ですな


                                    (「宇宙の排泄物」2005,08,21より)

ASTROBOTONIA Part 03

astrobotnia part 3
   ■Artist : ASTROBOTONIA
   ■Title : ASTROBOTONIA Part 03
   ■Label : Rephlex
   ■Release : 2002
   ■Sample :




んでもってこれがASTROBOTONIAのPart03。(02は未聴)
Part 01に比べて結構ビートに対する比重が大きくなってるのでこちらの方が面白みのあるサウンドになってます。
アシッドテイストなんかも盛り込まれていて悪くありません。
ビートも相変わらずせせこましい。

10曲目辺りのドリルンチューンでは頭からネジが飛び出してしまいました。

あと坂道をコロコロと何かが超高速で転がり落ちてますw  そんな感じ。

以上。はい終わり。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,03,06より)

ASTROBOTNIA Part 01

astrobotonia 01
   ■Artist : ASTROBOTNIA
   ■Title : ASTROBOTNIA Part 01
   ■Label : Rephlex
   ■Release : 2002
   ■Sample :




これはASTROBOTNIAというアーティストがRephlexからリリースした3枚からなるシリーズの1作目、Part 01にあたるアルバム(因みにPart 02のみアナログ)。
このASTROBOTNIAというアーティスト、発売当初から関連する情報が殆んど無くRephlexの運営にも携わるAPHEX TWINことRichard Jamesの変名ではないかと密かに噂されてました。
しかし実際のところは同レーベルからのリリースでも知られるOVUCAの変名だった訳ですが。

このASTROBOTNIAではOVUCA名義の作品よりもっとアンビエント寄りの作品をつくっています。
変態×くせもの×キチガイ揃い(もちろん誉めてます)のイメージが強いRephlexの中ではチョット地味な作品だけどアナログでローファイな質感のアンビエントサウンドは中々好感が持てます。
それに曲調もアンビエントだけには留まらずそこは流石Rephlex、浮遊感のある上モノに繰り返されるヴォイスサンプル、そして破綻寸前のイカれた高速ドリルンベースの掛け合いはやはりかっこいい。
この辺の手数の多いビートラインは個人的にはかなり好みです。
もしかするとここいらの曲のコンビネーションがAPHEXを彷彿とさせたのかもしれません。

アルバム全体としてジャケットのアートワークから想像されるようなスペーシーな雰囲気には少し欠ける気もするけど十分erectric brain dance fantasyは堪能できる1枚になってます。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,03,05より)

Director's Cut

rechenzentrum   
   ■Artist : Rechenzentrum
   ■Title : Director's Cut
   ■Label : mille plateaux
   ■Release : 2003
   ■Sample :
   ■Video :



Rechenzentrumというのはそれぞれ音楽制作と映像制作を担当している3人組のユニットでこちらのアルバムは故mille plateaux(現在はmille plateaux mediaとして復活)から出された3rdアルバムで、おそらくmille plateauxが潰れる直前にリリース。ぎりぎりセ〜フっ。
映像作家もメンバーとして参加しているということもあってこのアルバムはCD+DVDという形態でリリースしてます。
この人たち去年のSOUND×VISIONにも作品を出展してたようです。

音の方はというと鬱的ダウナーサウンドといった感じでミニマル・ダブの要素やコラージュも取り込み煙たくアブストラクトな音像を作り上げている。
低い重心から繰り出される鬱蒼とした音はいつのまにか視界に一つのフィルターを作り出し辺りの光景に霞みをかけるようでもある。
また遠くから聞こえてくる哀しげなピアノやトランペットの響きもどこかぼんやりとしていて何故か昔の映画音楽を思い出してしまった。

映像は特別目新しいものではないけど何処かくっきりとしない抽象的なものなのでサウンドとも違和感なく溶け込んでいる。
終始ダークで深く沈みこんだ音なのに9曲目「synchron」が突如として眼前が明るく広がったような浮遊感のあるシンセにエレ・ポップなサウンドでちょっとビックリ。
でも意外とこの曲が好きだったりする。


                                      (「宇宙の排泄物」2005,02,21より)

Unomia

helios
   ■Artist : Helios
   ■Title : Unomia
   ■Label : Merck
   ■Release : 2004
   ■Sample :
   myspace.com

Heliosはボストン在住のアーティストKeith Kennifのソロ・プロジェクトであり過去にはNeo Ouijaのコンピ「Cottage Industries 3」にも楽曲を提供、またType RecordsからはGoldmund名義としてピアノを基調とした美しく慎ましやかなアンビエント作品を発表している。
今回のHelios名義での作品はマイアミ・エレクトロニカシーンの雄、Merckからのリリース。

生音も随所に散りばめられたオーガニックなエレクトロニカ。
決して主張し過ぎる事のない流麗なメロディーと小気味良いグリッチビートをアクセントに美的ドローンを溶け込ませた非常にドリーミーで思わず身も心も委ねたくなるような心地よいサウンドとなっている。これといった目新しさはなく派手なサウンドとは言い難いが心に静かに響くような繊細なメロディーが特徴の秀作と言えるだろう。

風のようなドローンが緩やかな稜線を描くように吹き抜け掻き消されそうなアコースティックギターとピアノによる切ないメロディーは情感に優しく訴えかける。そして静かに打ちつけるダウンビートが様々な情景を携えて駆け抜ける。
そこからイメージされるものはジャケットに描かれたような少し赤茶けた情景であり、また記憶の中に確かに存在する強烈な郷愁への思いなのかもしれない。
そして穏やかな昼間のまどろみの中、淡い陽光が差し込んでくるような優しくも儚い感触。

Heliosの音楽には記憶の中の最も透き通ったノスタルジックな感情に微かな振動を与えるような不思議な魅力に溢れている。
目を閉じ、うとうとしながら頭をかすめるのは懐かしかったあの頃の光景・・・


                                       (「宇宙の排泄物」2005,02,04より)

R o o m w i t h s k y

room with sky
   ■Artist : John Hudak
   ■Title : Room with sky
   ■Label : SPEKK
   ■Release : 2004
   ■Sample :
   ■Intervew :



言葉が解体された末に生まれた奇跡的に美しい作品

触れれば今にも砕け散ってしまいそうなサウンド

それはまさに結晶の様な透明感で光を乱反射させる

全1曲60分余すことなく繰り広げられる眩くも儚い音世界

実験的な要素と繊細な美しさが融合した傑作


                                    (「宇宙の排泄物」2005,02,13より)

January

january
   ■Artist : Taylor Deupree
   ■Title : January
   ■Label : SPEKK
   ■Release : 2004
   ■Sample :
   ■Intervew :



ミニマルというものに焦点を当てたエクスペリメンタルなエレクトロニック・ミュージック作品をリリースしている東京の新興レーベルSPEKKのカタログNo.01を飾った、お馴染み12Kのレーベルオーナー、Taylor Deupreeの作品。
ここのレーベルは音もさることながらアートワークも秀逸なものが多いのでお気に入り。
最近の彼の作品に見られるミニマリスティックな音の中にある種のポップさが兼ね備わった本作。
相変わらず静謐で透き通ったサウンドを聴かせてくれます。

エクスペリメンタルといっても小難しいものではなく今作はDeupree自身が来日時の東京の雪景色にインスパイアされたというだけあって極めて情景的で映像喚起力に優れた作品になっている。
お得意の清涼感漂うミニマル・アンビエントからまるで凍てつく冬の空気のように全てを冷気で包み込むようなドローン、彼にとってはおそらく珍しい女性ボーカルを起用した曲があるなど新しい展開も。

特に女性ボーカルsawakoを起用した「Midlight」は今にも消え入りそうな彼女の声が断片的に幾度となくカットアップされ、まるでこちらの方に近づいてくるような錯覚を覚えてしまうような神秘的で妖しげな雰囲気漂う曲になっている。
Deupreeの新たな側面も垣間見る事が出来るアルバムで、レーベルの記念すべき1枚目を飾るのに相応しい快作です。


mujo

mujo
   ■Artist : Taylor Deupree & Christpher Willits
   ■Title : mujo
   ■Label : PLOP
   ■Release : 2004
   ■Sample :




12kのレーベルの主宰者Taylor DeupreeとギタリストChristpher Willitsによる共作第2弾アルバム。
タイトルの「mujo」は所謂「無常」の事と思われる。
世の中の移ろいやすさや儚さを表すこの禅的(東洋的)思想、美徳感覚をアメリカの音響吟遊詩人はどのように表現するんだろうか、と構えて聴いてみたものの内容はいい意味でこちらの予想を裏切るような(多少難解な作風になるのかもと思っていたので)作品でメロディアスでリズミカルな一面も覗かせる内容に仕上がってると言える。

優しく爪弾かれるギターと、これまたグリッチやノイズを多少抑えた控え目なマイクロスコピックな電子音によるハーモニックな掛け合いはポップで透明感のある印象を与える。ただ個人的にはラストの曲だけはイマイチ。

タイトルが示す「mujo(=無常)」という観念は何故かTaylorの作る電子音響作品には良く似合う。何故だろう・・・・
ミニマルでどこまでも澄み切ったサウンドが「無常」というどこか静的で熱量を帯びない感覚に重なるような気がする。気がするだけだろうか。


                                     (「宇宙の排泄物」2005,02,15より)

Balance

balance
   ■Artist : Frank Bretschneider & Taylor Deupree
   ■Title : Balance
   ■Label : mille plautex
   ■Release : 2002
   ■Sample :




先頃、来日公演も果たした12Kの総帥、Taylor DeupreeとKomet名義でお馴染みのFrank Bretschneiderとの共作。

Taylor Deupreeそして12Kといえば清涼感/静謐感溢れる澄み切ったマイクロスコピックなミニマルサウンドが特徴の素晴らしい作品を幾つも世に生み出していますが今作のFrank Bretschneiderとのコラボレーションではその辺りのDeupree色はやや抑えられ音数も多くIDM/ELECTRONICA(狭義の意味で)の要素が強い印象の作品になっている。レーベルも故mille plautexからのリリース。
これはBretschneiderの作風がわりと前面に押し出ているということなのでしょう。
IDMの持つあの独特な不穏な空気感とプチプチとしたグリッチ−なビートがそこに加わり、その冷め切ったサウンドが妙な距離感を生み出している。
特に宙を漂っているかのような浮遊感溢れる上モノと、音の輪郭がくっきりとしたビートの対比は小気味良い印象で互いが互いの要素を補っているようにも見受けられる。

コラボレーション作品の作風がソロと一緒というのは実につまらないもので、そういった意味ではこちらの作品は聴き応えのあるものだったし、お互いのサウンドの要素(IDM/電子音響)がバランスよく引っ張り出されていたので二人のソロしか知らないという人には楽しめる内容のはず。
Deupreeはこの他にもかなりの数の共作をリリースしているのでそちらも気になる所。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,07,07より)

Understanding Wildlife

shuttle358
   ■Artist : Shuttle358
   ■Title : Understanding Wildlife
   ■Label : mille plateaux
   ■Release : 2002
   ■Sample :




12kからのリリースでも知られるDan AbramsによるShuttle358名義でのアルバム。
少し前に比べ幾分クールダウンした涼しげな秋の夜にはこういった静謐感漂う作品が実に良く似合う。
マイクロスコピックなビートにハープの控え目ながら甘い音色。
少ない音数の中を微弱なグリッチにか細いメロディーが隙間を埋めていく様で何とも心地よい。

電子音主体であるにも関わらず冷え切った感触ではなくどちらかというとオーガニックで暖かいイメージを聴いて取ることが出来る。
そしてアルバム全体がまるで淡い色彩を帯びているような、しなやかでいて非常に美しい作品に仕上がっている。
秋の夜長を静かに彩ってくれる1枚ではないかと。


                                        (「宇宙の排泄物」2005,09,19より)

Herbstlaub

marsen jules
   ■Artist : Marsen Jules
   ■Title : Herbstlaub
   ■Label : City Centre Offices
   ■Release : 2005
   ■Sample :
   ■Video : (from 何世紀分もの八月
   myspace.com

数々の傑作アルバムを世に生み出し、エレクトロニックミュージック界の見本市的なレーベル、CCOから届けられたMarsen Julesというアーティストによる1stアルバム。
CDというフォーマットでのリリースはこれが初となるがネットレーベル、Autoplateからは2つのmp3作品を発表してます。
そしてこちらの1stアルバムも期待を裏切ることのない素晴らしい作品になっている。

アルバム全体に漂うクラシカルで陰鬱な世界観が音により厚みを加え靄がかかったようなサウンドを生み出している。
弦楽器によるダークでシンフォニックな響きと微かに聞こえてくるピアノの美しくも哀しい調べ、雨のように乱れ打つアコースティックギターはアルバム全体に見られる悲壮感をより一層引き立てている。
そしてその後に僅かながら垣間見れる穏やかな日差し。なかでも3・4曲目は眩くも柔らかな光を放つアルバム中のハイライトとも言える曲となっている。やがて再び訪れる悲哀に満ちた世界・・・・

このアルバムが1枚を通して表現しているのはもしかしたら自然界における四季の移ろいではなかろうか。
序盤では地中で春を待つ芽を、中盤では青々と隆盛を極める草花を、そして終盤に差し掛かるにつれて葉を落としていく木々を。
しかし次の年には再び新たな生命が地に宿るだろう。
それはジャケットに微かに描かれている美しく可憐な花のような。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,05,25より)

Journal for People

高木正勝
   ■Artist : Takagi Masakatsu
   ■Title : Journal for People
   ■Label : Daisy World
   ■Release : 2002
   ■Sample : ♪(SOUND ページにて)




今や日本を代表するエレクトロニカ・アーティストでありその活動の幅はそういった括りでは語りきれないほど多岐に渡るアーティスト、高木正勝。
そんな彼の人気を決定付けたこの「Journal for People」は叙情的で美しく、またピュアな作品でありエレクトロニカ云々というよりも一つの音楽として大変素晴らしいものであるといえる。

清涼感溢れる1音1音がまるで水面に生まれる波紋のように広がっていき緩やかな電子音の波が連鎖的に波及していく。更にそこへ柔らかなグリッチ音が加わる事によってもう一つの新たな波紋を生み出し、やがてその波は一つの大きな波となり放射状に広がっていく。
牧歌的でノスタルジックなメロディーラインは忘れかけていた心象風景を見事に映し出すかのようだ。

彼の作品には「郷愁」を感じさせるものが多い。それは子供時代への強い憧憬の思いなのだろうか。
アルバムのラストを飾る「Light Song」は彼のそんな思いを一際強く感じさせる曲になっている。
まるで擦り切れたテープを再生したような中から聴こえるのは子供の声(実はこの声は彼が自らの歌声に加工を施したものらしい)と物悲しいピアノの音色。これが胸を締め付ける程に切ない。

夜中に真っ暗の部屋で聴いてたら切なくてマヂ涙が出そうになるよ・・・


                                        (「宇宙の排泄物」2005,06,21より)

Before Turning Off the Light

Group 2nd
   ■Artist : GROUP
   ■Title : Before Turning Off the Light
   ■Label : p-vine
   ■Release : 2004
   ■Sample :
   ■Intervew : &



前作である1stアルバム「Record」から約3年ぶりにリリースされたGROUPの2ndアルバムは強固な演奏力と更なる叙情性を携えて僕等の前に帰ってきた。

「Record」でその感傷的すぎるメロディーと溢れんばかりのエモーションで一気に彼等の虜になってしまったのだが今作はそんな1stアルバムですら霞んでしまう程に素晴らしい。そしてまたしても「泣ける」んである。
彼らの大きな魅力の一つといってもよいメロディーは相変わらず美しく切ない。それに1stに比べ確かなグルーブ感がこのアルバムには存在する。
リズムはより複雑に絡み合いスピード感とダイナミックさがバンドアンサンブルによりパワフルな印象を与えさせる。

特に1曲目や3曲目は手数の多いドラムラインや4つ打ちも飛び出しそれが突き抜けるような疾走感となって表れている。
そしてギターの溶ろけるように甘いフレーズと、トランペットとソプラノサックスが織り成す柔らかく淡いメロディーは心の中のある感情を掻き立てられずにはいられない。
それは紛れもなく「郷愁」であり、それを感じれる所が僕がこのバンドを好きな理由の1つかもしれない。

そしてやはりGROUPには夏が似合う。それはうだるような夏のギラついた熱気ではなく夏の夕暮れが醸し出すような少し赤茶けた夏の光景である。
そしてその赤茶けた光景こそ僕が夏に対して抱く郷愁の思いと、どことなく重なるのである。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,07,29より)

Nowhere Rain

nowhere rain
   ■Artist : V.A
   ■Title : Nowhere Rain
   ■Label : 是空
   ■Release :
   ■Sample :




LOS APSON?の店主・山辺氏の時空レーベルのサブレーベル、是空からリリースされた雨にまつわる9アーティスト全10曲収録によるコンピレーション。
参加アーティストはcalmbayakaといったjazz系からwhy sheep?やbuddah stick transparentといったambient系まで幅広く収録。それぞれが様々な雨模様を演出していて雨の日にボーットお部屋で聴いてたら梅雨のやな気分もふっ飛び極楽気分ですわな、こりゃ。

特に良いのがwhy sheep?による「even if you wish or not」。トライバル色豊かで、呪術的なパーカッションと水々しいサウンドはまるで中南米の鬱蒼としたジャングルから響いてくる雨乞いの儀式って感じw 酩酊度抜群で雨の日にドップリと浸る事ができる。calmの「五月雨」もいつものcalmのjazzのエッセンスが繊細なフルートの音色と溶け合い真夜中の雨模様といった感じでかなりムーディー

ここに収録されている曲には十種十様それぞれの雨の表情が見てとれる所が何とも面白い。
曇天の中淡々と降りつづく雨模様もあれば、晴れていたと思ったら急に降りだしてまたすぐやんでしまう通り雨もある。夜、静かに降り続く雨もあれば、夕暮れに降る雨もある。
とにかく雨の様々な表情が宿っていてそれぞれの曲から様々な雨の匂いがする。

雨の日が嫌いな人が聴けば、雨に対するイメージが変わるかもよ?
そんな思いを掻き立ててくれる雨の日の素敵な一枚。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,06,30より)

Tengaku

ground reverse
   ■Artist : GROUND REVERSE
   ■Title : Tengaku
   ■Label : Speedstar
   ■Release : 2001
   ■Sample :




GROUND REVERSEはDJ MANATHOLとジョディ天空という二人組みからなるユニットで2000年に発売された日本の最も深化したbreakbeatsの瞬間を捉えたコンピ「響現」にも楽曲を提供している。
彼らの1stアルバム「Tengaku」は互いに激しい衝突を繰り返す肉感的なbeatと圧倒的でカオティックな波となって押し寄せるnoise、そして隙を埋めていく攻撃的scratchが、瑞々しく淡いmelodyの浮遊感に富んだ音響処理と相まって「動」と「静」の危ういバランスの上で渾然一体となり圧倒的な音像を導き出している。
それは今までbreakbeatsが持っていた泥臭いイメージ(私感ですが)とは、かけ離れた音楽であり体感温度は限り無く低く、感情の抑揚は感じられない。音の抑揚は激しいがそれと感情の抑揚が直結していないようにも思える。
しかしアルバム中唯一のヴォーカル曲でありラストの曲「DREAM QUEST」で全てが解き放たれる。
音にのせられる詩は単語の連続ではあるが、その響きが独自のメランコリーを生み出す。そして詩を読み進むにつれて徐々に音と感情がリンクしていくように激しさを増していく。複雑に絡み合うbeatはより強靭に、よりnoisyに、よりchaoticに・・・・そう、それはまるでアルバムの最後に訪れたカタルシスである。
強烈なbeatに頭はすっきりした。


                                      (「宇宙の排泄物」2005,06,11より)

Weekend Control

taichi
   ■Artist : Taichi
   ■Title : Weekend Control
   ■Label : Revirth
   ■Release : 2003
   ■Sample :




日本が誇る哀愁ポスト・ロックバンド、GROUPにてドラマーとして活動しているTaichiの2ndソロアルバムはGROUPの諸作に負けず劣らずの素晴らしい作品である。
GROUPに於いてリズムの要であるドラムを担当している彼がドラムスティックからエレクトロニクスに持ち替えて作ったこのアルバムはリズムは勿論のこと、何と言っても素晴らしいのは彼の比類なきメロディーセンスではないだろうか。

1曲目「mirror」から彼の自由奔放で弾けまくったリズムが美しくドリーミィなメロディと融合し素晴らしい瞬間を演出してくれる。
とにかく彼のサウンドに通底して存在しているものはその自由度の高さだ。
それは彼のフリーフォームな音楽性から来るのか、はたまた人間性から来るのかはわからないが、このハチャメチャな感じが何とも愛らしくかつ人懐っこいサウンドを生み出してくれる。
2曲目「x2」にはROVOやDCPRGでお馴染みの芳垣氏とのカオティックなドラムセッションである。
そして3曲目以降、ここから彼の甘く夢見心地な世界観とサウンドで聴くものをさらなる桃源郷の如き幸福感に満ち溢れた瞬間へと誘ってくれるのである。

3・4曲目、約20分近くにも及ぶ2部構成の「highway in the clouds」、そして水々しい空間処理により火照った体をクールダウンさせてくれる超名曲「from the train window」(本アルバムには同曲の内田直之氏によるDUB MIXとOrganLanguage(a.k.a Calm)によるREMIXも収録)という素晴らしい流れで週末の最後の一コマを鮮やかに演出してくれるのであった。

                                       (「宇宙の排泄物」2005,06,27より)                                                                  

awaawa

映糸
   ■Artist : 映糸
   ■Title : awaawa
   ■Label : noble
   ■Release : 2003
   ■Sample :



映糸(えいし)は2001年に結成されたバンドで現在はアップライト・ベース&ボーカル、ギター、トランペット、ピアノ(アルバム発売時はピアノは未加入)という編成で活動しているバンド。

彼等の紡ぎ出す音楽はまるでボンヤリと淡い光が揺らめいているようでいて、聴く者を白昼夢の中へと緩やかに誘ってくれる。
まるでスピーカーの中のもっと奥底から湧き上がってくるような深くボヤけた音像と、mujikaの表れては消え入ってしまいそうな繊細でいて絹の糸のように力強いボーカリゼーション、そしてトランペットによる乾いた響きが何とも言えない独特の哀愁と切なさを醸し出してくれます。

夕暮れ時に広がるサイケデリア。

タイトルもいいね。
awa awa、あわ あわ、アワ アワ、泡々、淡々。

Tsuki No Wa なんかにも通じる夢うつつの湿っぽい音楽です(もちろん誉めてる)。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,01,13より)

Ninth Elegy

tsuki no wa
   ■Artist : Tsuki No Wa
   ■Title : Ninth Elegy
   ■Label : Think Pop
   ■Release : 2001
   ■Sample :
   ■Live : net-flyer

   

CALMのアルバム『Ancient Future』にもボーカルとして参加していた文乃助の所属するバンドがこちらのTsuki No Waです。このアルバムは360°recordsからリリースしていたものが廃盤となりthink popから再発された1stアルバム。

Tsuki No Waの音楽には不思議な魅力がある。それは聴く者を惹きつけ、あたかも周囲の時間と空間を緩やかに歪ませそこから抜け出せなくなるような甘い罠でもあるのかもしれない。

FOLKやJAZZ、DUBなどを取り入れた無国籍なサウンドと独特の音の広がりを見せる音響処理、そしてその線上を伸びやかで甘く艶やかな歌声を持つ文乃助のボーカルが舞った時、辺りの光景はいつしかピントがずれたような世界に変わり、赤茶けた色彩を帯びた光景が眼前に広がる。

詩的な世界と共に日本的湿度を含んだ感覚がこの音楽の中には存在している。
それは地下から湧き上がった噎せ返るような湿った空気であり、まるで幻惑を見せられているかのように妖しく艶やかな魅力を持っているのである。
そしてその感覚がたまらなく魅力的であり僕はいつもズルズルとこの世界に引き込まてしまうのである。   

やはりコレはとびきり甘い罠だ。


                                       (「宇宙の排泄物」2005,03,18より)


Moonage Electric Ensemble

Moonage
   ■Artist : CALM
   ■Title : Moonage Electric Ensemble
   ■Label : RAFT MUSIC
   ■Release : 1999
   ■Sample : -




CALMの知名度を一気に押し上げたアルバムにして傑作の2ndアルバムがこちらの『Moonage Electric Ensemble』である(因みに僕もこのアルバムで初めて彼の事を知った)。何でもCALM自身が星野之宣氏のSFコミック「2001夜物語」にインスパイアされて作ったそうで折角なのでコミックの方も是非是非読んで頂きたい。

内容はCALMの得意とする極めて洗練されたURBANなJAZZと原始的でいてまるで地球の鼓動を取り込んだかのようなTRIBALなリズムに溢れたスピリチュアルな作品となっている。

ピアノやフルートそれにパーカッションなど生楽器を多用し楽器本来の持つ美しい側面が存分に引き出されている本作は繊細で淡い水彩画のようなサウンドでありながらも、しっかりとキャンバスに染み込んだ表情豊かなそれぞれの色彩(音)が互いに互いを繋ぎとめている様にも思える。

今アルバムには彼の代表曲といっても過言ではない「Light Years」も収録。
そしてアルバムのラストを飾る曲「Oasis」は美しく幻想的な女性ボーカル?を起用しトランペットとアコースティックギター、そしてフルートが切ないメロディーを奏でるというアルバム一枚を締めくくるには相応しい素晴らしい楽曲になっている。

心をゆっくりと静め穏やかな夜に是非このアルバムを聴いて音の温もりというものを感じて頂きたい。その時には「2001夜物語」も忘れずにね。


                                    (「宇宙の排泄物」2005,03,14より)


月の出汐

月の出汐   
   ■Artist : YAMAUCHI
   ■Title : 月の出汐
   ■Label : Yoga Recordings
   ■Release : 2002
   ■Sample :
   ■Live :
   myspace.com

2002年のsonarsound tokyoに続き今年2005年には本家バルセロナでのsonar 2005にも出演を果たしたYAMAUCHIによる1stアルバム「月の出汐」は日本語の流麗な響きとアブストラクト且つ緻密なビートプログラミングによって紡ぎ出された力強い作品である。

多感な時期を東京からLAへと移り住んだ事によって生じたディアスポリックな感情がこのアルバムでは「日本語」の確かな響きと尺八や三味線等のサンプリングにも見て取れるように思う。
緻密なビートはRevirth直系とも言えるような重々しく不穏な音像を携えた不規則なbreak beats。
しかしそこへプラスしてYAMAUCHI独特の水々しく、しなやかでいて美しい感性も見て取れる。

そして彼の大きな魅力である「歌」は日本語である事の確かな響きと繊細な詩情が言霊となり大きな力を持ってこちらに語りかけてくるようである。
一言一言、一音一音が独立してまるで大いなる「何か」に導かれるような、そんなスピリチュアルでいて湧き出るようなエネルギーをある種のトランス感覚をもって彼の「歌」と「言葉」からは感じ取る事が出来る。
そしてそこには言葉を吐き出した末に彼の中に訪れたカタルシスティックな感覚が宿っている。

※8/24には2ndアルバム「Preferable Reality」がリリース。


                                  (「宇宙の排泄物」2005,08,13より)

Skampler

skampler
   ■Artist : V.A
   ■Title : Skampler
   ■Label : SKAM
   ■Release : 1998
   ■Sample :




BOARDS OF CANADAやBOLA、GESCOMなど人気アーティストを抱え、その常に謎めいた活動実態と極少量のプレス数、そして正統派IDMスタイルで90年代後半からシーンを牽引し、また代表するレーベルとなったSKAMのコンピレーションアルバム。

まずアルバムのビジュアル面からしてリスナーに購買させる気があるのか無いのか・・・・どんなのかと言うと全面オールブラックのケースにクレジットは一切無し。
有るといえば点字で書かれた文字(残念ながら解読不能)とデフォルメされた"Skampler"という文字のシールが直接ケースに貼り付けてあるのみ。
と、まぁこういうところがSKAMの人気を決定付ける一つの要因ではあるのは間違いないけど・・・(収録曲、アーティストもクレジット無しでネットで調べてようやく判明)。

音の方は一枚通してダークで相変わらず不穏な空気に満ちている。ただし変態度は低し。IDM、エレクトロニカからブレイクビーツ、そして超変則ドリルンベース調の曲もありでSKAMというレーベルに興味があるが何から手を付けていいかどうか悩んでいる方がいれば、まずこれを聴いてみては如何でしょうか。


                                      (「宇宙の排泄物」2005,01,06より)

Gnayse

GNAYSE
   ■Artist : BOLA
   ■Title : Gnayse
   ■Label : SKAM
   ■Release : 2004
   ■Sample
   ■Information :



BOLAの「SOUP」、「FYUTI」に続く3rdアルバム「GNAYSE」。発売は勿論SKAMから。

もう様々なブログで取り上げられてきたので今更僕が言うことも無いのだが・・・う〜ん率直な感想、やっぱり「SOUP」に比べると・・・・・という感は否めない。
自分の中で3rdアルバムに対して期待感が余りに高まり過ぎたのかな。
どこが悪いか?と聞かれると答えるのに困る。
いまいちピンとこない。としか言いようがないんでし。

否、決して悪い訳じゃない。やはりそこはさすがBOLAといったところでジャケットのアートワークもいつも通り謎めいていて聴く前から期待感を煽られる。
曲としてのクオリティーも申し分無いしアベレージ以上のものを確実に届けてくれていると思う。
全体を支配するダークで内省的な、まるで異界の奥底から響いてくるような幻想的な雰囲気も緻密で練り込まれたリズムもどこを取ってもBOLAという存在には必要不可欠な要素であるし今回のアルバムもそれを満たしてくれている。
相変わらず映像の喚起力には長けた音ではあるし、音の存在感もやはり圧倒的だ。

そして何よりBOLAの音楽には仄かな「暖かさ」が垣間見える瞬間がある。この限り無くマシーナライズされた音楽にはどうしようもない「暖かさ」が確かに存在する。今回のアルバムではそれが如実に感じられる。
そしてそこがBOLAのとびきり魅力的なところでもある。

じゃあ何処がダメなの?と聞かれると・・・
やっぱり、いまいちピンとこないの。も少し聴き込む余地ありです


                                       (「宇宙の排泄物」2005,02,27より)