Endless Summer

endless  summer
   
   ■Artist : Fennesz
   ■Title : Endless Summer
   ■Label : mego
   ■Release : 2001
   ■Sample :
   myspace.com

Endless Summer=「終わりなき夏」と題された余りにも感傷的でセンチメンタルなFenneszの代表作。僕も多くの人と同様、この作品で彼の存在を知りその世界に引き込まれた。

発売当時の2001年、あらゆるエレクトロニック・ミュージック系のメディアで最高傑作という取り上げられ方をしていたので少し懐疑的になりながらも聴いてみたのだけど、その素晴らしい音楽にいささか絶句してしまったのを覚えている。
それはデジタル・ノイズとアコースティック・ギターの美しい調和でありラップトップにまるで感情を吹き込んだかのようなエモーション溢れる音世界であった。ノイズ・サウンドの多くに見られる緊張感よりもこのアルバムではむしろ安らぎのようなものまで感じてしまう。

表題曲でもある「Endless Summer」は打ち寄せる細波のような繊細なノイズにザラついた加工を施したアコースティック・ギターの切ない音色が絡む叙情的な一曲。それはやがては過ぎ去っていく夏に抱く思いをまるで封じ込めているかのようだ。他にも「Caecilia」や「Shisheido」など美しくフォーキーな楽曲がアルバムを彩っている。

Fenneszがこのアルバムで表現したかったのはEndless Summer=「終わりなき夏」ではなくむしろ「終わり行く夏」の瞬間ではなかったのだろうか。
熱気に満ち溢れなかば享楽的なまでのこの夏という季節が持つ特有の匂いとそれが永遠に続いて欲しいと願う思い、しかしやがては絶対に訪れてしまう夏の終わりを彼はこの「Endless Summer」というタイトルに託していたのかしら?

そんな事思いながら聴き入る8月29日。


                                      (「宇宙の排泄物」2005,08,29より)